2025年度 筑波大学附属駒場中学校の入試分析

吉祥寺校・成城学園前校が担当した筑波大学附属駒場中学校の分析を掲載します。

算数

例年通りの4題構成。大問1~3は処理能力を求められる内容で、丁寧に進めなければミスを誘発し、また迅速に進めなければ時間内に終わらない筑駒らしい問題だった。このうち大問2は、小ブロックをある決まりで並べて中ブロックをつくり、さらに中ブロックを同じ決まりで並べて大ブロックをつくる入れ子構造(フラクタル構造)を持つ数表に関する問題だった。最近では灘、麻布などで出題例のあるテーマで、筑駒を目指すのであれば6年の夏にこうした学校の問題にも触れておきたい。

大問4は途中で2回、3回と変速するタイプの旅人算で、(1)は標準的なレベルだが(2)は対称点を置くなどの工夫が求められた。第3の点を仮置きするテクニック自体はテキストでも度々扱っているものだが、知識として「知っている」だけでは本番で「できる」ようにはならない。実践を通して、成功も失敗も両方経験しながらテクニックを身につけていきたい。

 
国語

昨年文章題に組み込まれた詩が大問3に単体で復活した。漢字は例年短文形式で出されていたが本文中に傍線が引かれる形で出された。

大問1は年越し派遣村村長で一躍有名になった湯浅誠の「甘え」の線引きに関する論説文。足の悪い人に車椅子を提供するのは「甘え」なのか「必要」なのか。「甘え」ではないというラインを決めるのは個人の自由でいいのかを問われた。筑駒の校風でもある「自由」ということについて本文をとおして受験生に考えさせる文章だった。

大問2は、装丁家・矢萩多聞の手書き文字に関するエッセイ。インドと日本を拠点に暮らしている筆者は日本にはインドとくらべて自由がないと感じている。筆者が日本に帰ってきたときに感じる窮屈さを答えさせている。

大問3は詩。誰かがついた小さな嘘は世の中の大きな嘘になるという内容は、昨今のネットの誤情報の拡散を思い起こさせる。

今年は、問題をとおして「本当の自由」とはなにかを考えさせられた。大問1は、個人の自由を尊重すれば人は甘えてしまうのではないか?大問2は、甘えが出ないよう厳しくすれば他人への不寛容につながるが、それはいいことなのか?という内容だった。大問3の詩は現代社会でのネットでの無責任な言葉の拡散を批判している。

日頃から世の中のニュースを問題意識を持ってみていてほしい。 

 
理科

[1]てこのつりあい [2]豆電球の回路 [3]溶解度 [4] 昆虫・動物 [5]シカによる森林破壊 [6]地学全般

昨年、一昨年と同じく大問6題の構成で、分野の偏りなく出題された。 筑駒の理科は例年、後半に物理化学の難問が出題されるが、今年についていえば前半に出題された。難度自体は抑えめで、特に[2]の豆電球は調べる量が少なく比較的取りやすかった。問題の構成や難度の点で過去の傾向と異なるところがあったため、判断に迷った生徒も多くいたものと思われる。どこから解くにしても時間を意識して正確に得点していくことが重要になる。

[3]は水溶液に水を加え、その一部を取り出し、溶質を加え、さらに溶液の残りの一部を加える操作をおこなう。実験内容と結果を読みながら状況を丁寧に追う必要があり、計算のプロセスが非常に煩雑になる。試験時間を考えるならば問5については、回避すべき問題であったと考えられる。

[4]~[6]は標準的な難度で、取りこぼすことなくしっかりと正解しておきたい。[5]は、小1から通塾している生徒は「エゾオオカミ物語」を思い出しただろうか。近年、より被害が深刻化してきたため、今年の出題となったのだと思われる。

[1][3]を試験時間内のどのタイミングで取り組むか、どれだけ正答を導くことができたかが勝負の分かれ目となったであろう。

 
社会

大問3題構成、難易度とも例年通り。

些細なミスが許されない高得点勝負になることは変わりがないが、ここ数年1問だった記述問題が、2問に増えたことが今年の特徴である。筑駒では、記号で答える問題が大半だが、選択肢の内容だけ見て正誤の判断するわけではないことには気をつけたい。

たとえば、大問3の3のイ、「前方後円墳は、…現在の東京都内には現存していない。」という選択肢の正誤を判定する問題があるが、この事実を知っているかどうかを聞いているのではない。本文中に「東京都内でも墳丘長が100mを超す前方後円墳がみられます。」とあるので、これをしっかり読めているかどうかを聞いている。

知識偏重で詰込み型の学習をおこなっていると、本文を読まないで自分の知識内で完結しようとしがちだが(特に社会ができる子が陥る)、筑駒ではそういった学習は通用しない。記述問題についても同様で、資料から読み取れることに加え、本文にヒントがある。筑駒受験生は、基礎知識を固めることと本文をきちんと読む習慣を大切にしたい。