武蔵小杉校・たまプラーザ校・大井町校が担当した女子学院中学校の分析を掲載します。
小問集合、つるかめ算、回転体、速さ、数の性質、平面図形、速さと比から出題された。
大問6は、シンプルな平面図形の問題。図形の性質に気付けたならそれがヒントとなる。
大問7は、2つの船についての流水算。条件をグラフまたは情景図に整理し、等しい距離や速さに注目する。数値の意味を正しく理解し、使うべき条件を冷静に選別していく良問であった。
例年通り、1題に使える時間が少なくスピードを求められている。その中にも昨年度よりも難度が上がり、解き方の工夫が必要な問題が散見された。解法の本質を正しくとらえ、時間を意識して取り組むことが合格を勝ち取るために必要となる。5年の冬以降は季節ゼミや季節講習を活用し、難関校の入試問題を通して制限時間内に演習する機会を作っていきたい。
文章は2題とも随筆であった。
大問一は、篠田桃紅『その日の墨』より「水田の写真に」からの出典。水田の写真を見てかつて筆者が疎開先で食べたお米の味を想起する内容である。文章は1300字程度で短い分、60~100字程度の記述4問を含め問題量は多いが、20分程度で解く必要がある。
大問二は、大竹伸朗『見えない音、聴こえない絵』より「斑模様の遠近法」からの出典。 現代美術家でもある筆者が、子供の頃経験した絵に関する挫折を通し成長していく経緯を読み解く。昨年度に比べ記述の文字数はやや減ったが、3000字近い文章に15分程度で解答しなければならないため、短時間で「何を聞いているか」「どこに書かれているか」「どう答えるか」を滞りなく、正しく処理することが求められた。
両問とも、記述問題は本文中に要素が明示されているため難度は高くないが、40分という時間制限を考えると、瞬時に問題の意図を読み取り素早く記述する力が試される。志望校対策講座で取り組んでいるように、過去問題や対策問題を多く解くことでスピード感覚を掴んでおきたい。
大問三の漢字書き取りを含め、知識問題は標準的な難度であり全問正解したい。
月のクレーター、植物のつくりと環境問題、気体と水溶液、密度が出題された。
大問2の植物のつくりではトマトの断面図に種を書き込む問題、キャベツの葉の形が外側から内側に向かってどのようになっているかを選ばせる問題が出された。授業で学んだ内容を食卓や買い物に行った際に確認することで、身の回りにある理科の観察をしてもらいたい。
大問3の水溶液では「とける」現象の違いについて問われた。水に砂糖が溶ける溶解、氷が融けて水になる融解、鉄が塩酸に溶ける化学反応の3つの違いを理解していないと解けない。理科の現象の本質や原理を理解していくために、授業で習った考え方をもとに宿題に取り組み、正解した場合でもなぜそうなるのかわからないときは質問して解決してほしい。
例年、20字程度の記述問題が3問から7問出題されている。今年度は6問と、昨年度の4問と比べて多く出題された。初見の問題であっても、習ったことを組み合わせれば記述は完成する。6年夏期講習以降から始まる入試問題演習を通して記述の力を身につけていきたい。
「人間と水資源」をテーマとした大問4題構成。
人と水とのかかわりについて、その歴史的変遷を出題した大問1と大問2(歴史分野)、国内の地域毎の特色ある水とのかかわり方を問う大問3(地理分野)、国連のSDGsにからめて現代の水資源問題を採り上げた大問4(公民分野)という、一貫性をもたせた問題構成となっている。正誤判定の難しい選択肢問題を中心に、各大問に1問ずつ記述問題を組み込んだ出題形式は例年どおりであるが、昨年度に比べて問題数は増えた。
受験生は例年通り、地理・歴史・公民の知識を活用して選択肢をスピーディーに判断する処理能力はもちろんのこと、記述問題では社会現象の背後に隠されていることを自分の言葉で的確に表現する能力も求められた。たとえば「ステーキ用の牛肉200グラムの生産」が最も水資源を消費する理由を説明させた大問IV問6の問題では、バーチャルウォーターの理論を用いて書くことが要求された。こうした興味深い理論や知見は、担当が授業の中で必ず言及するので、そこから得られる多くの気づきや発見がこうした問題の対策に直結するだろう。