2023年度 開成中学校の入試分析

本日は、豊洲校・勝どき校が担当した開成中学校の分析を掲載します。

算数

大問5題という珍しい構成だった。
内容的には開成として平易なものであった。
合格するにはケアレスミスは許されず、例年より高得点が必要であった。

大問[1]の旅人算、大問[3]の立体の切断は、過去にも出題されている単元の問題であり、大問[2]の正六角形の面積も、受験生としては常識的な問題である。
大問[4]点の移動は書き出して規則性を見つければよく、大問[5]の整数の性質については問題の誘導に素直に従えばよい。

大問[4][5]については開成らしい出題でしっかり解けるようにしておきたい。
エルカミノでは筑駒算数講座で同様の練習を行ってきたので、受講生にとっては解きやすい問題であったと考えられる。

 

国語

物語文1題だった2022年とは変わり、二題構成に戻った。
また、昨年指示された字数制限はなくなり、2021年以前の問題と同様に自由記述となった。

大問1の論説文(隈研吾『ひとの住処』)のテーマは、さまざまな立場の人と協働し、自己実現を目指すというもの。
大問2の物語文(柚木麻子『終点のあの子』)は、クラスメイトとの関係にもやもやを抱える女子高生の心情を描く。
女子の心情を問う問題は、2020年にも出題されている。
2題通じて、周囲との関係をとらえ直し、自分の成長につなげるという開成の求める生徒像がきちんと見える文章である。

さまざまな視点を受け入れて、考えを深めてほしいという学校からのメッセージは、国語の出題傾向の変化を受け入れ乗り越えて挑戦してほしいというメッセージと重なる。
漢字の書き取り以外は完全に記述問題であり、今まで記述問題から逃げずに練習を積んだか、いかに簡潔にまとめるかということが今年度も勝負の分かれ目となった。

 

理科

今年も昨年度と同様に易化傾向が続いた。
図や表の数値を読み取り、基礎知識をふまえて設問の誘導どおりに作業を進めれば、ほぼ全ての問題に正答できる高得点勝負の内容だった。
これは最低限度の知識は有することと、設問の指示を理解し適切な作業ができること、この2つの能力を持っていれば、そこから先は学校が十分に育て上げるという自信の表れともいえるのではないか。

扱った単元は、地層、熱の伝わり方、ふりこ、血液循環などどれも中学受験における頻出のものであった。

熱の伝わり方の出題で、沸騰石の働き方について問われていた。
一度、使用した沸騰石は十分に乾燥させないと再度、使用することはできない。
ただ、この出題も仮にその知識を持っていなかったとしても、その設問の前に沸騰石が持つ微小な穴の役割に関する出題があり、それをふまえて思考すれば、十分に正答できる内容だった。

基礎知識と設問の誘導に乗り、作業ができること、それが開成の理科攻略において大切である。

 

社会

問題数が昨年度の大問3題から大問2題に変更され、問題数が減少した。
地理分野は易化傾向にあり、歴史分野と公民分野は例年通り、基本的な問題が多く出題された。

今年は、時事問題に関連させる出題が多かった。
2022年に開催されたサッカーワールドカップの開催地であるカタールやウクライナ情勢に関わる国の位置、150周年を迎えた鉄道事業に関する問題、夏に行われた参議院議員選挙に関する問題まで出題され、2022年の注目すべき重大時事が目白押しだった。

思考力を問うと言うより、しっかりした知識量が重視されていた。特定の分野に偏ることなく、地理・歴史・公民でつながりを持った学習が必要となる。
その中で、今年度の開成は時事問題と融合する出題が多かったため、時事問題小テストにきちんと取り組んだエルカミノ生には有利だったと言える。