みなさんこんにちは。
本日より、男女御三家中学の入試分析を掲載していきます。
まずは、目白本校・練馬校が担当した麻布中学校の分析です。
大問1:水量・割合 大問2:正八角形・面積 大問3:円・折り返し・角度・長さ
大問4:食塩水・割合 大問5:ブロック・規則性 大問6:小数・規則
例年と大きな変化はないが、速さ単元の出題がなく、若干、前半部分が難しくなった印象。
図形や数で丁寧に規則性を見極める問題は継続して出題されている。
麻布受験生にとっては、全体の構成・分量も変化なく解きやすかったのではないだろうか。
大問3は、一見似た設定で解いたことがあるような円の問題であるが、本質を理解し、円の性質と折り返し図形の性質を図の中に取り入れることができるかが問われる良問だった。
大問6は、分数を小数で表した時、小数点以下に現れる数字の、右端の4個を並べてできる整数の問題。
作業法が示されているので、ここで規則性に気がつければ、残りの問題はすんなりと解けてしまうため、合否が分かれる問題だったと言える。
麻布を狙うのであれば、計算という作業をしながら解法(規則)を探る練習が必要である。
今後も過去問演習を中心とした学習で、時間内に書き出し規則を見つける練習をしていくとよいだろう。
例年どおり、物語文ひとつからの出題であった。
出典は、寺地はるなの「タイムマシンに乗れないぼくたち」である。
浦和明の星中でも同じ文章が出題された。
複雑な家庭環境で、学校にも居場所がない十二歳の草児が主人公であった。
博物館で出会った、一風変わった男と話すうちに、草児は日々の辛さから思わず泣いてしまうが、男は「いろいろ、あるよね」とだけ言って受け止めてくれた。
その後一歩踏み出すことで家族ともクラスメイトとも関係を築き始めた草児はある日、「だいじな人」と食事をしている男と再会する。
しかしお互い気づきながらも声をかけず、草児は男と男の「だいじな人」が幸せであるように願うのだった。
最後の問十三(1)で男と再会できた草児のうれしさを答えさせ、(2)でお互い立ち直ったことで二度と会わなくなることを答えさせる。
苦難を乗り越えられた喜びだけでなく、成長したがゆえのさびしさまで答えさせる点が麻布ならではの設問であった。
4単元構成。
大問はそれぞれ1:生物(人体や動物)、2:地学(星との距離について)、3:電気(スピーカーやコンデンサのしくみ)、4:化学(分子エネルギーと栄養成分表示からのカロリー計算)となっている。
リード文が多く、問題文に考え方が示されているので、それを理解し解き進めると次の問題を解くヒントになる。
記述では、リード文からどうしてそうなるのかを考えさせるような問題が出題され、例年通り入試問題を通じて知識欲を満たすような内容となっている。大問1問4の記述で辛い料理は食べたいが汗をかきたくない。どうしたら汗をかきにくくなるか。という汗をかく理由に絡めて、かきにくくなるような防止策を考えさせる問題が出題されていた。
リード文の中でカプサイシンの話が触れられており、感覚神経が高温、辛み、痛みの刺激の3種類が脳に汗をかくように指令するということを読み取った上で、工夫して意見を述べる必要があり、思考力を問う問題が数多く出題されているのが特徴だろう。
「公共」をテーマとし、公共のもののあり方や宮城県の水道民営化について考えさせる問題となっている。
例年と変わらず、選択肢や語句問題は易しく、長文記述で差がつく形式となった。
記述では、表やグラフからさまざまな視点に立って考えることが求められる。
水道という生活に直結する重要なものを民営化することについての問題点(問9)、地方公共団体と民間企業の運営契約が長期になることの理由や長期契約の欠点を考えさせる出題があった(問10)。
また、個人的な問題でも「みんな」で支えることで解決できるような仕組みを考えて、100~120字で説明させる麻布らしい問題もあった(問11)。
みんなで支えあう公共のあり方と利益を追求する民間企業の関係を問われた。
自己責任といわれる現代社会だが、支えあうことの重要性を考えて、問題を解決するために自分の意見を述べる必要がある。
普段から時事問題に興味を持ち、自分なりの解決策をまとめる練習が必要である。