みなさんこんにちは。
今回は成城学園前校が担当した麻布中学校の分析です。
大問1~3は標準レベルの問題。
大問4の速さはやや難しいが、御三家志望者なら解けなくてはいけない。
「弟が兄より1秒早くゴール地点に到着」という文言に惑わされず、「兄がゴールした時点で弟は1秒分だけゴールより先にいる」という線分図を書けば、解きやすくなる。
大問5は、(1)(2)の誘導が親切で、計算量も多くない。
適切な補助線を引いて相似が作れたかどうかが勝負となる。
大問6は周期算の難問。
(4)は計算だけで解くのは困難で、40まで書き出すのが最短の解法となる。
書き出す時間を確保するためにも、難度の低い大問1~3は時間をかけずに解きたい。
合否への影響が大きかったのは大問4と6だろう。
例年どおり、物語文ひとつからの出題。出典は、くどうれいんの「氷柱の声」である。
主人公は絵が得意な美術部員。
震災後、被災地に送る絵を描いて取材を受けるが、取材受けする言葉を発することができず、送った絵自身が評価される記事にならずに落ち込んだ。
さらに、高校生活最後のコンクールで自信作を出品したが、絵の中身よりも被災地に向けたメッセージを重視する審査員に受け入れてもらえなかった。
当初は自分の絵を蹴ろうとしたが、自分の気持ちを再確認して、正直に自分の思いを表現した絵を大切にする気持ちに変化した。
問十で「賞を獲れなかった」理由は、賞を獲った絵が復興を象徴していること、主人公の絵の滝が津波を想起させることを踏まえて記述する。
問十二は、大人からの評価を気にせず、自分の好きな絵を描けばよいと思えるようになった気持ちの変化を答える。
「旗が風ではためく様子」「和食の旨味」「金星」「新型コロナウイルス」と、身近な現象を問う問題になっている。
「旗がはためくのはなぜだろう?」「味噌汁をおいしいと感じるのはなぜだろう?」「夕方や明け方の金星はなんて美しいのだろう」「感染症になることなく、健康を保つにはどうすれば良いのだろう?」と疑問や感動を持ち、自分で調べて解決できる受験生を望んでいる。
問題文に考え方が示されているので、それを理解し解き進めると次の問題を解くヒントになる。
麻布らしい、入試問題を通して受験生の知識欲を満たす内容になっている。
「外国人」をテーマとし、主に外国人労働者・難民政策について採り上げている。
選択肢や語句問題は易しく、長文記述で差がつく形式は例年と変わらない。
記述では、さまざまな立場の視点が求められる。難民審査について、難民の立場から日本政府の対応の問題点(問9)を、外国人労働者を雇う企業側のねらい(問11)を、移民とその家族の人権を守るために必要な政策(問13)を考える。
自らも社会を構成する一員として、大人や社会の事情を冷静に理解したうえで、問題解決にむけた自分の意見を述べる必要がある。
以上、麻布中学校の分析でした。
次回も引き続き入試分析の記事を掲載します。