2020年度 女子学院中学の入試問題分析

みなさんこんにちは。
今回は女子学院中学の入試問題分析です。
こちらは目白本校の教務職員が担当いたしました。

算数

今年は10年以上前に出題されたことがある○×問題や、語句の問題が出題された。
大問4と大問5は小学5年生でも解ける内容。
大問6の速さの問題は、川の流れが相殺される有名なもので、後半はダイヤグラムであっさり解ける。
それらを含めて全体的に易しい問題で構成されていた。8割は得点したい。

2020女子学院算数

 

国語

問題用紙が従来よりも大きくなり、選択肢の設問の文章量が若干増えた。

大問一の随筆文は、2014年に刊行された『「迷子」のすすめ』からの出典。作者は天台宗の僧侶の阿純章さんである。「いまここ」を生きている子どもと時間にとらわれて、今必要ではない先のことを考えてしまう大人との対比を踏まえて設問に答える。

大問二の説明文は2019年に刊行された、鷲田清一さん『濃霧の中の方向感覚』からの出典。現代の人々は便利さ、快適さを追求するあまり、生きる基本となる能力の「つくる」ことだけではなく、本来多様な意味があった「つかう」ことの衰退も招き、人や物との繋がりが薄れ、孤独になっていることがテーマとなっている。

理科

大問1の生物は唾液のはたらき、大問2の天体は太陽の日周運動、大問3の化学は溶解度の計算、大問4の力学はばねとモーメントがそれぞれ出題された。すべて見慣れた問題設定で取り組みやすかった。

しかし、大問2の天体には様々な条件での南中高度や昼の長さを比較する問題が出題されており、一つ一つの条件をしっかり読み取って考えれば簡単ではあるものの、テスト中に全問こなせた受験生は少ないかもしれない。

また、大問4力学は後半やや難問が含まれている(下記)。解くべき問題の見極めが大切だろう。

画像2

画像3

ばねBとCの自然長の差が6㎝であることから、BがCより6㎝多く伸びていることに着目して解くことができる。

社会

大問Ⅰが歴史、大問Ⅱが地理、大問Ⅲが公民とバランスよく出題されるようになった。
かつては50~60問程度出題されていたものが、ここ数年問題数は減少傾向にあり、今年は40問程度となった。
歴史で「貧窮問答歌」では当時の農民の実態を断定できない理由を述べさせるものが出題されたが、何の手がかりもないため、多くの受験生が戸惑ったのではないか。
他はおおむね基本的知識を問うものとなっている。

 

以上、女子学院中学の分析でした。
入試分析記事は次回の筑駒中学が最後となります。
では、また次回お会いしましょう。