みなさんこんにちは。
今回は麻布中学の入試問題分析です。
こちらは吉祥寺校の教務職員が担当いたしました。
算数 |
大問数が再び6題に。今年度も試行錯誤しながら効率的な解法を探るという傾向は変わらない。
毎年受験生を苦しめてきた(楽しませてきた?)整数問題が易化したため、全体的に取り付き易い印象である。
また大問5が計算をほとんど要さない問題だったため、時間的にも余裕があったはず。
大問2は典型題と見せて(2)がやや難しい。麻布を狙うならぜひ解けてほしい問題。
合格ラインは去年を上回る75%前後と見るが、大問6が難しかったため80%を超えることはないだろう。
国語 |
例年通り物語文一つからの出題。10000字を越える長文であった。
出典は宮下奈津「まだまだ、」(『つぼみ』所収)。
なお同じ文章が2018年度海城中二回目の国語で出題されている。
昨年同様、主人公は十代の女子。三姉妹の末っ子である。
活け花教室に通っている男子生徒とのやり取りや、活け花の型をめぐる祖母との話し合いなどから、主人公の心情の変化を読み取る必要がある。
主人公は基本形を逸脱しためちゃくちゃな花を活けて先生に怒られたり、活け花はどうしてもわたしがやらなきゃならないことじゃないのかもしれないと悩んだりしている。そこから「私らしさ」を考えさせる麻布中らしい出題があった。
また「型を自分のものに」するとはどういうことかを説明させる問題もあり、自由な校風で知られる麻布中だが、自由とは何をやってもよいということではないことを示しているようで興味深い。
理科 |
小問数は30問以上で例年通り。
計算して求める問題では、単位換算や植木算の要素などミスしやすい面はあるが、全体的に昨年よりも易しく取り組みやすいものだった。
大問2は昨年のコーヒーに続き、お菓子がテーマになっておもしろい。
生クリームの成分など身近なものから理科へと広がっていく。
大問4でも麻布周辺の地形に等高線を重ねていく設題。
全体的に、算数や社会など教科の垣根を超えて考える問題が多かった。
社会 |
衣服をテーマにしたリード文から様々な出題があった。
特に衣服から「らしさ」を考えさせる問題は、制服の無い麻布中にとっておもしろい出題である。
また衣服をテーマにして、企業が流行を生み出していることや日本社会の特徴を答えさせる問題は、時事問題もしっかり押さえておく必要がある。
衣服に対する考え方の違いによって、人びとの間に問題が起きることにも触れている。
具体例として、入れ墨で入店を拒否された外国人観光客や髪を染めることを禁止する学校の校則に、生徒から反対の声が上がっていることを上げ、どちらか一つを選び、対立する一方の言い分と、他方の言い分を80字から120字で書かせる問題もあった。
自分の意見だけでなく、相手の言い分も論理的に考えることが求められている。
以上、麻布中学の入試分析でした。
次回も引き続き入試分析の記事を掲載いたします。